2025年5月2日、宇多田ヒカルさんの新曲「Mine or Yours」が配信スタートすると、ある一節が瞬く間にSNSを駆け巡りました。
「令和何年になったらこの国で 夫婦別姓OKされるんだろう」
この一行に込められたメッセージは、ただのラブソングでは済まされませんでした。これは、長年議論が続いている「選択的夫婦別姓制度」への鋭い提言。そしてこの歌詞を発したのが、ただのアーティストではなく、宇多田ヒカルだったことで、世間の注目は一気に集中しました。
しかし、彼女がこうした“社会派の一面”を見せたのは、実は今回が初めてではありません。その背景には、波瀾万丈の人生と深い葛藤があったのです。
宇多田ヒカルという存在：日米をまたぐ運命に生まれて
宇多田ヒカルさんは1983年、アメリカ・ニューヨークに生まれました。母は演歌歌手・藤圭子さん、父は音楽プロデューサー・宇多田照實さんという、芸能一家の中で育ちます。
幼少期からクラシックピアノを学び、10代の頃には家族とともに音楽制作に取り組むようになります。1998年、まだ15歳の時に発表したデビューアルバム『First Love』は日本の音楽史に残る大ヒットを記録。あまりに早く、大人の世界に踏み込んでしまった少女は、以後もずっと「天才」として、同時に「孤独」として語られることになります。
「人としての痛み」から生まれる歌
宇多田ヒカルの楽曲には一貫して“人間くささ”が通っています。華やかさよりも、内省、繊細さ、痛み、強さ…。たとえば『Flavor of Life』で描いた「愛してるの響きだけで 強くなれる気がしたよ」は、恋愛の“夢”ではなく、“現実”に寄り添った言葉でした。
そしてそれは、彼女自身の人生のリアリティとリンクしていたのです。
結婚と離婚…愛を知り、自由を求めた女性の選択
宇多田さんは2010年にイタリア人男性と結婚し、ロンドンで暮らし始めます。2015年には第一子となる男児を出産。しかし、2018年には離婚を発表。さらに以前には、日本人カメラマンとの結婚（2002年～2007年）と離婚も経験しています。
この2度の結婚と離婚を通じて、宇多田ヒカルは“愛の形”や“家族のあり方”について、深く考え続けてきたようです。
特に2015年以降、イギリスという国際的かつ多様な価値観の中で生活する中で、「夫婦が同じ姓である必要性」に対する疑問も強くなったと考えられます。
日本では今もなお、夫婦同姓が法律で定められており、選択的夫婦別姓が認められていません。これはG7諸国では唯一の状況であり、国際的には“遅れている”とされる分野でもあります。
「Mine or Yours」に込められたリアル
そんな彼女が2025年に発表した新曲「Mine or Yours」は、ただの恋愛ソングではありません。切ないメロディとともに流れるその歌詞は、愛を語りながらも、「この社会で本当に自由な愛が許されているのか？」という問いを投げかけています。
「令和何年になったらこの国で 夫婦別姓OKされるんだろう」
この歌詞に多くのリスナーはハッとさせられました。中には「政治的すぎる」という批判もありましたが、それ以上に「宇多田ヒカルだからこそ言える言葉」という共感が広がったのです。
SNS上では次のような反応も見られました：
- 「ヒッキーの新曲、泣いた…この一言、響きすぎる」
- 「“夫婦別姓”って単語がJ-POPの中で歌われる日が来るとは」
- 「宇多田ヒカル、やっぱりただのアーティストじゃない…」
この曲が政府に影響を与えるかどうかはわかりませんが、確実に“人々の心”には波紋を広げました。
政治と音楽の間で：政府が動いたってホント？
一部ネット上では、「政府がこの歌詞に対して何らかの反応を示すのでは？」という憶測も飛び交っています。ですが、現時点で政府がこの曲に公式に反応したという情報はありません。
ただし、宇多田ヒカルの影響力を考えると、今後の夫婦別姓制度の議論において“無視できない存在”になる可能性は十分あると専門家は語っています。
「愛することの自由」こそ、宇多田ヒカルの本質
結婚も、家族も、名前も――すべては“自分で選ぶ”ことができるべき。
それが、宇多田ヒカルというアーティストが長年歌い続けてきた、静かだけど強い信念なのかもしれません。
「誰かのものになるんじゃなく、私は私でいたい」
「でも、そんな私を丸ごと愛してほしい」
それは矛盾ではなく、現代を生きる私たちすべてが感じている葛藤。
だからこそ、彼女の歌は今日も、聴く人の胸の奥に真っ直ぐ届くのです。
最後に
「Mine or Yours」が話題になった今、私たちが考えるべきなのは、“誰のもの”かではなく、“誰とどう生きるか”なのかもしれません。
夫婦別姓という制度の話にとどまらず、宇多田ヒカルが投げかけたこの問いを、あなたはどう受け止めますか？
コメント