いつもの何気ない日常が目に見えない恐怖にさらされることになろうとは、その時の私にはまったく思いもよりませんでした。
朝のスーパー特売に出かけるときにビビりました。
その日の夕飯のことなんか考えながら、全く油断して歩いていました。
駐車場に行くために路地を曲がると彼(彼女?)がつつましやかに座っていたのです。
それは白鳥さんでした。
つつましやかな白鳥さんとは対照的にほかの人には見せられないくらい狼狽してしまった私ですが、いや、油断していた私が悪いわけではありません。居てはいけない人がそこにいたら誰でもビビるでしょう。
私の人生経験の中でランキング上位に入るくらいの衝撃度でしたね。(ちなみに人生ビビったランキング第1位は仕事帰りの夕暮れ時に車を運転していて、道路脇に倒れていた人を発見した事です。死んでたらどうしようなんて考えながら声をかけたら、酔っ払いが倒れていたのでした…。)
鳥インフルエンザ?の白鳥を発見した時の様子
しかしながら私がビビったのは居てはいけないものがいただけではなく、私の住んでる地域では「鳥インフルエンザ」が白鳥から検出され、養鶏場でも20万羽が殺処分されていたからです。
「これアカン感じのやつやん…。」
「いや完全にアウトやん!」
「もしこの白鳥さんが鳥インフルエンザで弱っていたらどないすんねん!」
なんて思い「どこに電話すりゃいいんだよ…」と途方に暮れながらスマホに手をかけた瞬間
「すみませーん!」
と女性の声が。
振り返ると駐車場のお隣にある家から出てきたお姉さんでした。(ちなみに初めてお会いしました)
私が困って右往左往している姿を見られていたのだと思うと恥ずかしいやら…。
お姉さん:「びっくりしたでしょう?」
私:「はい、猛烈にびっくりしました。」
お姉さん:「なんかねえ、昨日の夜からこの駐車場にいてウロチョロしてたみたいなの」
私:「この白鳥弱ってますよね…。鳥インフルエンザかもしれないですよね?」
お姉さん:「私たち家族もそう思って電話したのよ。でも生きているうちは保護したり移動させたりできないんですって」
私:(ナンダト?)「だって鳥インフルエンザだったらまずいですよね?伝染るかもしれないですよね?」
お姉さん:「そうなんだけどねェ…」
私:「こら白鳥さん!早く川まで飛んで行きなさい!」
なんて追い払おうとしても動く気配もありません。
お姉さんたちがどこに問い合わせたのかは分かりませんでしたが、やはり白鳥さんはそっとしておくしかなさそうです。
できるだけ白鳥さんに近づかないように移動開始。コンクリート塀もあり、最大に距離をあけても白鳥さんとはわずか2mの距離です。
そこまで近づいても白鳥さんは逃げようとはしません。
やはりかなり体が弱っていることがわかります。
私は車までたどり着くと逃げ出すように買い物に出かけました。
思いのほか買い物に時間がかかり、駐車場に着いたのは正午近くでした。
恐る恐る駐車場に入っていくと、あれほど弱っていた白鳥さんはすでにいませんでした。
駐車場であの白鳥さんが死んで鳥インフルエンザが疑われたら、消毒やら立入禁止措置やらとられると思うのですが、それが行われていないところをみると、白鳥さんは弱った体ながらも懸命に飛んで行ったと思われます。
白鳥さんに罪はないですが、いなくなってホッとしました。
鳥インフルエンザが人間に感染した日本初の事例に私はなりたくもないし、まして子供たちのことを考えるとやはり怖かったからです。
こんな体験をしたものですから、今までニュースの中での出来事だった鳥インフルエンザについて少し調べてみました。
弱った野鳥を発見した場合の対処法
鳥インフルエンザについて調べていたところ、愛知県環境局のHPに次のような記載がありました。
野鳥は車や窓ガラスにぶつかるなどさまざまな要因で、怪我をすることがあります。
野鳥のヒナの場合は、強風や巣立の練習中に巣から落ちてしまうことがあります。
街の中の野鳥も自然界のルールにしたがって生きています。自然界のルールの中で生きていくことは非常に大変なことなのですが、野鳥にとってその中で生きていくことこそが本来の姿なのです。
傷ついた鳥などを見つけても、その怪我等の原因が違法行為による疑いがなければ、ちょっと残酷かもしれませんが、そのままにしておくことが自然なことなのです。
人間が必要以上にかかわることなく、人間に依存しないよう自然のままにしておくことが大切です。
愛知県環境局HPより一部抜粋
やはりあのお姉さんの言うように「そのまま放っておくしかない」とのことですね…。
自然のルールの中で生きているという説明がとても分かりやすかったです。
しかし、調べを進めていくうちに気になる記載がありました。
3-2. それ以外で鳥インフルエンザにかかることはありますか?
鳥インフルエンザにかかった鳥の羽や粉末状になったフンを吸い込んだり、その鳥のフンや内臓に触れてウイルスに汚染された手から鼻へウイルスが入るなど、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合に、ごくまれに感染することが報告されています。
農林水産庁HPより一部抜粋
「鳥のフンに触れて~中略~ごくまれに感染することが報告されています。」
やばいよ!そこまで意識できなかったよ!
俺フンを吸い込んだかも?
怖い!
すぐさまうがいを何回もし、それから使い捨て手袋を装着して、履いて行ったお気に入りのアディダスのスニーカー全体にアルコールスプレーを吹きかけました。
そして玄関はもちろん、駐車場や私が歩いてきた通路なんかにもアルコールを吹きかけました。
フンが乾燥して家の中に飛散したらと思うと怖かったですが、私が弱った白鳥さんと遭遇してから2週間が経過していましたので我が家の鳥インフルエンザ騒動はひとまず終結とみていいと思います。
それにしてもビビりましたね。
ニュースなんかで自分には関係ないと思ってスルーしてしまうモノも、一応はそれなりの知識として持っておくべきだと痛感しました。
とりあえず弱った野鳥(白鳥)は見つけてもどうにもならないことが判明しました。
担当部署に電話をかけても、白鳥を移動してくれないどころか、様子すら見に来ませんから…。
【まとめ】弱った野鳥を発見したら放置しかありません
みなさんも弱った白鳥を駐車場で見つけたらそっとしてあげて下さい。
どこにも電話できないし、放っておくしかないようです。
今回の件で一番心配したのは「フンを吸い込んだかも!」という点でした。
もちろんできる限りの距離をとって移動はしたつもりでしたが、乾燥したフンが風にのって舞っていたとも限りません。
今回はそのような惨事にはなりませんでしたが、普段通る通学路に白鳥なんか大人しくしていたら、子どもは目を光らせて近寄っていく可能性が高いです。
お子様がいるご家庭はそのあたりも注意してもらえたら、私の経験も無駄にならないかなと思います。
弱った野鳥には近づかない。
覚えておきましょう。
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