永野芽郁さんが主演を務めた映画「マイ・ブロークン・マリコ」の原作を読んだらめっちゃ感動!
もうね、音楽に例えたら、Aメロからラストまでずっと「サビ」を歌ってるって感じ。
出だしから漫画が突っ走っていて、ラストまでその勢いが止まらないってことです。(この説明で分かるかな笑)
ただ、すべてが「サビ」のこの漫画にも、他の漫画や映画のように「山場」がしっかりとあります。
今回は「マイ・ブロークン・マリコ」の山場について考えてみますよ♪(映画「マイ・ブロークン・マリコ」での永野芽郁さんの役作りについてはこちらの記事を参照してね)
「マイ・ブロークン・マリコ」のあらすじ
鬱屈した日々を送るOL・シイノトモヨが、テレビのニュースで親友・イカガワマリコの死を知ることから始まる。学生時代から父に虐待を受けていたマリコの魂を救うため、「刺し違えたってマリコの遺骨はあたしが連れて行く!」と誓い、マリコの実家から遺骨を強奪したシイノは、そのまま旅に出ることに。マリコの遺骨を抱き、彼女との思い出を胸に、シイノが向かった先は――。
上のあらすじは「映画.com」様の記事より引用させていただきました。
マイ・ブロークン・マリコ 原作山場その1 「出だし」
もうね、この漫画、出だしからやばいんですよ。
「どこ行くんだ コラ」
「メシも作んねえで 遊びに行くんかコラ おかしいだろオラ あ? 謝れコラ おい バカ バーカ‼」
「謝れよ オラ 謝れよ」
主人公のシイノが親友のマリコを花火に誘った夜のこと。
シイノがマリコの家に迎えに行ったら、マリコの父親からこのセリフ。
この時二人はまだ中学生。
中学生の娘に夕飯の準備を強要し、バカ呼ばわり。
そして、謝らせます。
「(ゴンッ)…めんなさい ごめんなさい」
もちろん(ゴンッ)は暴力の音でしょうね。(声だけが聞こえていて、漫画には描写はない)
シイノが初めてマリコへの家庭内暴力の現場を見たシーンでした。
そして、二人が高校生になってさらに衝撃的なセリフがあります。
「わたしが悪いんだって」
「わたしが『誘惑したから』」
「お父さん わたしに 『手ぇ出しちゃったんだ』って」
マリコがシイノに打ち明けるシーン。
家庭内の性暴力にまで発展してしまったにもかかわらず、マリコに責任をなすりつける母親。
そのままマリコの母親は家から出ていきました。
家庭内がこんな状況ですから、マリコは「壊れて」しまいます。
マイ・ブロークン・マリコ 原作山場その2 「バスと酒場」
マリコの両親から無理やりマリコの骨壺を奪ったシイノは、骨壺を抱きながら逃亡します。
その途中シイノは、マリコが自分の名前「まり」がついた「まりがおか岬」に行きたがっていたことを思い出します。
次の山場は、まりがおか岬に向かうそのバスとまりがおか岬にある酒場の中です。
まず、バスの中。
無事にバスに乗り込み、骨壺を抱きながらマリコからの手紙を読むシイノ。
そのまま眠ってしまいますが、なんとシイノの腕の中には小さい頃のマリコが!
バスの中で小さなマリコを抱きしめるシイノが描かれたこのシーンは、この漫画で最も美しい描写として話題になりました。
また、酒場の中ではシイノとマリコが「共依存」の関係にあったことがわかります。
酒を飲みながらマリコとの過去を思い出すシイノ。
その過去とは、シイノの目の前でマリコがリストカットをしながら次のように言うシーンです。
「シイちゃんが わたしのこと 嫌いになったら わたし」
「死ぬから 死んでやるから!」
マリコが深くシイノに依存していることが分かります。
実は一方で、シイノもまたマリコに依存していました。
まりがおか岬行きのバスに乗る前、シイノは
「あんたは どうだったか 知らないけどね」
「あたしには 正直あんたしか いなかった」
と、心でつぶやいています。
シイノもまた、マリコに依存していた「共依存」の関係が分かります。
シイノが素直に
「あたしには あんたしか いないんだよ」
と、マリコに言っていたらマリコの気持ちがもしかしたらやわらいでいたのかなぁと思うと少し残念です。
でも、二人ともまだ若かったし、シイノはシイノでマリコを救うことで精一杯だったのかもしれません。
マイ・ブロークン・マリコ 原作山場その3 「パンケーキ」
ある日、社会人になったシイノがマリコに会いに行ったのがパンケーキの食べられるお店。
この時点では、シイノは社会人ですがマリコは社会人ではないような雰囲気です。
よく見ると腕を骨折しているマリコ。
元カレに会いに行ったら、引きずりまわされて骨折したと告白。
(暴力的な元カレにすら依存しているマリコがかわいそうです)
シイノはマリコに激しく怒ります。
なぜなら、その元カレからマリコを救ったのがシイノだったからです。
興奮したシイノはついマリコにかなり強い言葉をぶつけてしまいます。
「あんた 感覚 ぶっ壊れてンじゃねえの⁉」
これに対してマリコの言葉
「そーだよ わたし ぶっ壊れてるの」
「ぶっ壊れてる お前が悪いって 散々言われた」
「わたしがイラ立たせるようなことをするから殴った」
「わたしが言うことを聞かないから叩いた」
「わたしが誘惑したから襲った」
「わたしがしつこくするから煩わしくて出てった」
「もう どっから直していけばいいのか わかんなくなっちゃった」
「んふ」
マリコがぶっ壊れてしまうまでに傷つけた人たちを本当に許せないし、自分が壊れてるのを笑って認めるしかないマリコに涙腺崩壊しない人はいないんじゃないでしょうか。
マイ・ブロークン・マリコ 原作山場その4 「ラストシーン」
様々なアクシデントがあったまりがおか岬への旅。
そこから帰ってきたシイノにマリコの継母から手紙が渡されます。
もちろんマリコがシイノに書いた手紙です。
「なんであたしを置いてった!」
「せめて 一緒に死んでくれと言ってほしかった!」
こんな感じで、ずっとマリコの突然の死の意味を探していたシイノ。
そして、その手紙を読み終わったシイノの言葉がとても考えさせられます。
すべてを悟ったのかのようなシイノの描写がさらに私たちに多くのことを考えさせます。
永野芽郁「マイ・ブロークン・マリコ」の原作 まとめ
原作者「平庫(ひらこ)ワカ」さんは、「マイ・ブロークン・マリコ」がデビュー作。
デビュー作でここまで魂のこもった作品を生み出せる人はなかなかいないんじゃないかと思います。
今回は「マイ・ブロークン・マリコ」の山場について考えましたが、普通山場って物語の中に1つ。
でも、記事の冒頭にも書きましたが「マイ・ブロークン・マリコ」は全編が「サビ」のようなものです。
めっちゃ疾走感にあふれています。
心を壊されたマリコと必死で救い出そうとするシイノ。
二人のことを考えると
めっちゃ悔しくて、悲しくて、寂しくて、何度も何度も泣きました。
コメント